- 作者: 秋山瑞人,椎名優
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2000/01/01
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もう2週間くらい前なのでどこだったか忘れてしまいましたが、誰かが言及しているのをみて「久しぶりだなぁ」とAmazonで衝動買いしたのに、届いてみたら読んだことがない作品だったことに気がつきました。たぶん「ねこたま」あたりと勘違いしたのではないかと。そりゃもう絶版ですよねぇ。
そういうわけで勘違いで購入してしまった作品ですが、これはよい勘違い。もうみんなこれ買って読めと言いたくなる良作でした。久々に余韻の残る小説を読みました。
設定はライトなSFって感じ。原因は不明ながら人間が居なくなった軌道上のステーション(というかプラントっぽい)で、人間の補佐用に改造されたらしい猫の末裔がなんとか生き延びて社会を構成し、残されたロボットや工具を使いながら生活しているというのが物語の舞台。これをきいてあー、と引く人が絶対いると思うのですが、それは間違い!! これはラノベの皮をかぶった……えーと、なんなんだろう、SFとも言い難いし、ヒューマンドラマ? 猫だけど。あのー、まあいうなればブンガクとかそういう。あーブンガクって恥ずかしいワードですよね、なんか。でもそういう作品なのです。あまくみているとヤケドします。
だって幽の章のおわりのほうは、もう涙目で読んでましたもん。ネコの話で涙目なんて、「100万回生きたねこ」以来ですよ。あっちは涙目というか号泣だった気もしないではないですが。
なんというか、夢を追う人の(猫だけど)業の深さとか、まわりの人に(猫だけど)犠牲を強いてまでも進まざるを得ない時の悲哀とか、とても良く描けています。泣けます。焔と楽のさいごのほうのエピソードがまたヤバいんですよ。焔はこの物語を通じてもっとも成長した猫だと思いますが、その結果何を得たんだろうかと考えると、この後の彼の人生(猫生)がどんなものなのか考え込んでしまいます。つまりそれくらい作品世界にドップリはまり込んでしまいました。