犬はどこだ

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)

自転車の修理に出した待ち時間に入った書店で時間潰しの文庫本を求めていて発見。いつか読もうと思っていた作品です。いやわたしが米澤穂信の作品を読んでみようと思ったきっかけは sshi さんの このレビューだったので、本当は真っ先にこの作品を読みたかったのですが、書店で巡り会えずにこれまで先延ばしになっていました。うわーもうそれから2年半も経ってる。

犬捜し専門の探偵を起業したばかりの主人公のもとに(おせっかいな友人のおかげで)失踪人捜しと、町に伝わる古文書の由来探しの依頼が舞いこんできて、プータローの後輩くんにも手伝わせてなんとか依頼をこなそうとするという話で、序盤のエンジンのかかり方はまったりしていますが、中盤になってきて伏線が絡みはじめると、いいところで視点の変更が頻繁に挟まってきます。「ちょっ、こっちはどうなんのよ」「あ、こっちはこっちでおもしろいことに」とこのテレビ的手法にまんまとはめられてぐいぐい結末まで引っ張られて読み切ってしまいました。そして最後の畳み掛けの爽快感のくせに、結末にはなんとも言えないどよよーんと鈍い後味の悪さを残すという。これが米澤節ですね。

期待は裏切られなかった。しかしなんかこう、最近小説などの結末がこういうどよんど感だとリアルに気分が沈んでしまうようになってきて、その点では多少ダメージ覚悟。