秋期限定 栗きんとん事件 下

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

つづき。放火魔については推理とか関係なく消去法で特定容易なので特に驚きはないのだけど、途中のあきらかなミスリードに「もしかしたら……ありうる」と思わせてしまうのが小佐内さんクオリティ。

やはり小佐内さんの行動原理がよく掴めなくて、上巻を読み終えた段階では小佐内さんもそこまで小佐内さんじゃないんじゃないってことなんじゃないかな、と思っていたのだけど甘かった。マロングラッセよりも甘かった。小佐内さんはやっぱりどこまでも小佐内さんであった。最終章を読み終えて多くの読者の胸に去来するのは、恐怖ではないだろうか。まさかそこが動機だったとは。

それはそうと、春夏秋とくればやはりこのシリーズは冬が出て完結するのだろうか。春期で高校に入学した小鳩くんたちももう受験生の秋までが描かれてしまったので、冬期があるとしたら受験の真っ最中か、あるいは卒業後になるのか。できれば最後くらい小佐内さんには狼の皮を脱いでデレてもらいたいものだ。その時がおそらくこのシリーズでもっともおそろしいシーンになるだろう。