西の魔女が死んだ

川崎 東急シネマズで。

原作を読んだのは……3年前ですね。この質素な小説が映画化されるとは思いませんでした。

なかなか忠実に、うまく映像化しているということで好感の持てる作品でした。わたしが好きだった場面はカットされてしまっていましたし、母親と祖母の間の確執らしいものは原作ではとても繊細に描写されていたのに、映画ではちょっと難しかったのかほとんど表現されていないなどの微妙な差異はありましたけど。主演の女の子は「まい」のイメージによくあっています。手足が細っこくて、神経質そうで、劇中の表現を借りれば「扱いにくい子」。

せっかくおばあさんの家や裏山は緑豊かな場所なので、もう少し色彩豊かに映せば良いと思うのですが、回想だからなのか妙に白っぽく飛びぎみのバランスで彩度が弱かったのが気になりました。現在の視点に戻っても特にあからさまな違いがあるわけでもないので、時制の表現のためではないと思うのですけど。「かもめ食堂」なんかもああいう白々したカラーバランスでしたけど、あちらは食堂の雰囲気も含めてマッチしていましたけど、今作ではあの色彩だとおばあさんの生活が「ロハス(笑)」とカッコ笑いつきになってしまうような気がしました。そこは残念。おばあさんのはロハスじゃないんだよー。

あとリコーダとハープの音楽がかわいかったのが印象に残りました。原作のファンならばのんびりと楽しめる良作ではないでしょうか。