音律と音階の科学

音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか (ブルーバックス)

音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか (ブルーバックス)

連休前半で読みました。目から鱗が5、6枚は落ちたと思います。これはすごい良書でした。

これまでネット上で楽典入門だとか音楽理論の入門などの情報を少しだけ漁っていて、実は音楽って数学的なのね、とときめいて*1おりましたが、「そもそもなんで音律は12半音でできてるんだろう」「12の音から抜粋してメジャーだとかマイナーだとかコードを作るのはなぜだろう」という根本はわからないままでした。どうせ経験則的に「これが気持ちいい」というのが使われてるだけなんだろうとおもって気にしないようにしていました。この本はその根本のところから一応の筋道を付ける理論を紹介してくれています。

まさか音律の元にピタゴラス素数が登場するとは。それにこれまでなんとなく存在と特徴だけ教科書的知識として知っていただけの音律の種類と変遷について、かなりちゃんと理解できたと思います。また12音ではない音律のチャレンジや理論的裏付けの方法を知ることができたのは非常に嬉しいことでした。

図表の使い方がいまひとつ読みやすくなく、文章で説明されているものを図と見比べてしっかり確認しないと理解しにくいところや、すごく前のページの図を後から図番号だけで参照する(ページも入れてほしかった)など、読みにくい部分もありましたが、内容はたいへんためになりました。まだ理解の及ばないところ、いずれ試してみたいトピックなどあるのでそのうちまた読み返すと思います。

*1:と同時に、これを小学生の時に教えてくれていれば……と学校音楽教育を恨みましたが。

「有限群」村の冒険

うーん、数学を物語調にして解説するということで、確かにわかりやすい部分もあったとは思うのですが、正直あんまりこのスタイルであるメリットを感じられませんでした。ぶっちゃけ物語がおもしろくないんですよね。また結局後半の難しいところは難しいままで、あんまり噛み砕いてくれているような気がしないのがなんとも……。

もうひとつ致命的なだめなところ。索引がないというのはいいとしても、参考文献がまったくないってどういうことですか。この本を読んで、もっと先に進みたいと思った読者にすすめる本のリストがたっぷりあってしかるべきだと思うんですけどねぇ。

総じて「手抜き」感が否めず、ちょっと期待外れでした。