映画2本だての日

チネチッタに映画2本観にいってきました。映画を複数観る日は時間割に気をつかいます。うまく繋がらないと中途半端な時間が空いてしまって、間にどこかに行こうにもゆっくり買い物する程の余裕はなかったりして、それに終わりが暗い時間になったりするともう一日が終わっちゃったよーという気分になります。

それから複数の時はどの順番で観るかというのも結構考えどころです。ええ、「ロードオブザリング 王の帰還」の超大作を観たすぐ後に「イノセンス」を観たのはあきらかな時間割ミスでした。疲れきってから観る映画じゃないですよあれは。

今回もなかなかの大作2本「崖の上のポニョ」と「スカイ・クロラ」。たぶんポニョはちょっと体力消費するかなと思ったので後にしようと言っていたのですが、パートナーの「しかしポニョを後に観ると、ポニョの(唄の)印象で全て塗り潰されるんじゃ」という慧眼に納得して先にポニョを観ることにしました。

結論としては、まあどちらからでも大丈夫だったかな。実に対照的な2作品でした。

崖の上のポニョ

アンデルセンの人魚姫に取材したとか言ってるそうですけど、そんなの嘘にきまってますよね。どこからどう観てもクトゥルフじゃないですか。そういう観点からいうと、グランマンマーレはあまりにも隙なく美しすぎて、もうちょっとだけでいいから一瞬畏怖させるところが欲しかった。登場シーンはちょっとそういう感じあったけど。

内容はクトゥルフですけど、子供向けに作ったというのは嘘ではないようでしたね。ストーリテリングは簡素で展開が高速、説明するだけのシーンは極力排除されていて、エンディングロールがあっさり1コーラスだけだったのも、トイレを我慢しているであろう子供達への配慮かと思う*1くらい、子供が観ることを前提に作られていると感じました。多分尺もすごく頑張って削ったんだろうなぁ。それなのに中身はクトゥルフ神話。深い、深すぎる。それに子供達泣いてたよいろんなシーンで。ちなみにうちの姪たちはジブリは怖いからといって拒否して花より男子Fを観たらしい。うちの姪たちらしいチョイス……。

正直なところ、このセンでもうちょっとこってりとしたのが観てみたかったなぁというのが感想ですね。あーあとわたしはフジモトが好きだなぁ。あの人って多分実は凄いでしょきっと?大変な才能なり努力なりの上に脱人間して神と子を成したわけで、それで魔法とかそういうものに近しい世界に身を置いてるのに、未だになんだか理屈っぽくて、多分魔法の本質的なところを感覚で掴むことはできずにいるんだろうね。まだ悟ってないわけだ。まあそのへんは父親と母親の子供への接し方の差が投影されているのかも。

あ、あと、はてなにこんなにクトゥルフに喰い付く人が多いとは思いませんでしたよ。てすかとりぽか 『崖の上のポニョ』 クトゥルー神話っていう記事にはてなブクマが大量についていて、しかもわたしがそこにつけたぶくまのSAN値に余裕があるときに観に行こう。に対してスターが22個もつくとか。はてなーはそんなに TRPG やってんの?

*1:あーもうすぐ終わりだ、と思ったらスタッフロールが15分続いたりすると大人でも大変です

スカイ・クロラ

実に対照的な作品でした。

オープニングからお腹に響く爆音と共に描かれる空中戦、オールドファッションなプロペラ機。本気で実写と見紛うばかりの美麗な画や映像効果にも驚きました。映像作品としては至上の一品と言っていいでしょう。

このように道具立ては完璧に大人向けなのですが、語られる物語は子供向け、というかまるっきりジュブナイルでした。ネタもオチもまるわかりだったので、これはラストどうするかだなーと思って観ていました。まあラストも予想の範疇だったと言えます。それから今作ではラブシーンが少々出てくるのですが、これの演出がもう、中学生が考える「オトナの恋愛ってこんなのかな」みたいな感じで、いやー全然だめですよあれは。

そういえば、最後に函南優一がティーチャーに向かう時、字幕には「ティーチャーを撃墜する」と表記されていましたけど、実際には "I'll kill my father." と言ってましたね。あそこの father が比喩なのか(どこかのガイドブックには「戦闘機乗りにとって父のような存在であるティーチャー」みたいな解説がされてた)、それとも何らかの確信が彼にあったのか、そこは少し謎です。

PLUTO 6

PLUTO 6 (ビッグコミックス)

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読んだ。

もうすぐ終りそう。と思わせてまだ延びてしまうんだろうな。このへんでするっと決着付けたら良さそうなのにね。

孤独のグルメ

孤独のグルメ 【新装版】

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このマンガいつも丸善に行くと目につく作品で、巷で(ごく狭い巷のような気もするけど)ずいぶん話題になっているみたいなので、あんまり気になるんで買ってしまいました。

ただ毎回空腹をかかえた主人公がいろんなお店で食事をするという短かい話(1話8ページ)が延々くりかえされるというなんだかストイックとも言える作品。オチとか別にないし。グルメについての蘊蓄を語るわけでもない。なんだか変なものを買っちゃったなーと思いつつ読んでいたら、半分あたりからなんか妙なツボにはまってきてしまった。なんだろう。ゴルゴ13みたいな、どの話から読んでもいいし、どの話もだいたい同じことやってるだけていうこのルーチン感が妙に落ち着く……。よくわからないけどけっこう面白い。