ファインディング・ニモ

本日公開の「ファインディング・ニモ」を観てきました。公開初日に映画を見るのは久々でしたが少し都心から離れて小さな映画館に行ったのでそれほど混んではいませんでした。

まずはなんと言ってもPixerが誇るCGが素晴らしい。今回は水の表現に力を注いだということですが、ゆったりした海草の揺れ、沈没潜水艦近くでの水中に浮いた細かい埃(シースノー?)、一面のクラゲの群の質感とその動き、鯨の口で泡立つ水の流れ、ペリカンに降ろされた海面での雨とマーリンの動きとによる波紋の自然さ、距離によって霞み色が濃くなっていく情景、どれをとっても世界一の出来だと思います。ニモやマーリンの身体の質感がややプラスティックっぽく見えますが、キャラクターに関してはディフォルメされていることもありますし、それに寄ったショットでよくよく観てみると鱗の形状がきちんと描写されているのが分かりました。よく作り込まれているので「ひょっとしてこの質感が本当の生きた魚のものなのかも」と思えるくらいです。

そしてストーリーですが、「モンスターズ・インク」と比べるとよりコメディタッチな部分が減り、親子愛と友情を描くことに注力したようです。「モンスターズ・インク」のほぼ常にギャグが出てくるようなのも好きだったので、個人的にはもうちょっと笑いの比率が多くてもよかったと思います。そして話のテンポがかなり速い。それほど長い映画ではないにも関わらずかなりのエピソードが詰め込まれていて思い返すと随分長くマーリンやドリーと旅してきた気になります。でも決して詰め込みすぎとは思いません。このことがラスト近くで物忘れの激しいドリーがこれまでの旅についてフラッシュバックのように一気に思い出すシーンを強烈に印象深くしていると思います。僕はこのシーンがお気に入りでした。マーリンとニモの親子愛もよかったですが、個人的にはこの愛すべき忘れんぼドリーとマーリンの友情(実のところドリーは凄く役立つ相棒だったわけですからね)がぐっとくるものがありました。最初のうちは「いかにも感動させようとしてるな」といういくつかの設定(幸運のヒレとか過保護なマーリンとか)に警戒していたのに、いつの間にか素直に感動してしました。
総じていい作品でした。DVDが出たら買います。