レンブラントの夜警

新宿テアトル タイムズスクエアにて。

http://eiga.com/official/nightwatching/

レンブラントの「フランス・バニング・コック隊長の市警団」通称「夜警」という絵画をモチーフにした、舞台調のちょっと変った映画です。少々難解でもあるし、通常の意味でのストーリ展開というのがあまりなくて、登場人物達の述懐によって状況が描写されていくというところが多いです。

でもまあおおざっぱにあらすじにすると……17世紀オランダで絶頂期にあった画家レンブラントアムステルダム市警団の肖像画の依頼を受けたが、彼らの腐敗した実体やスキャンダルを告発する暗喩をその絵画に込めたため、復讐を受け転落の人生を歩む、みたいな。ただしこの映画ではおおまかな時系列はたどるものの、整然とした時間の流れに沿って語られるというよりは、解説書のようにトピックに応じて語り方を変化させながらひとつの絵画を読み解くという趣向になっていて、とにかくちょっと変った映画です。

が、わたしはあえてこの映画高く評価したい。こんな映画もあるのねん、と蒙を啓いてくれたという意味で。もちろん個別のシーンの照明などの舞台効果には目を見張るものがありました。印象的だったのは絨毯を持って野外で昼食を食べる、ほぼ唯一日光にあふれたシーンと、最初の妻の臨終の床で、傍らに開かれた読みかけの本が置いてあったところ。きっとベッドで時々本を開いていたのでしょうけど、最期の時に読んでいた本ってわたしにとっては凄く意味深長に思えるのです。ましてそれが新しく読む本だったり、シリーズものの途中だったりして……とつい妄想してしまうのでした。

それからこの映画のもうひとつの特徴……英語がとっても丁寧できれいです。バッチリ聴き取れました。あんまりよく聴きとれるから「すわ、iKnow! の効果か?」と思ったのですが、後でパートナがそれは勘違いと言ってたので、残念ながらわたしの耳が向上したわけではなくて、この作品の英語がきれいだっただけのようです。